ハロ−!純一

子供が友達と映画に行きたいという事で見に行ってきました。「保護者同伴で小学生以下無料」という大胆すぎてか今まで以外になかったこの戦略に、監督やスタッフの「小学生に見てもらいたい!」という本気の意気込みが伺えます。
内気な小学生である主人公「純一」含む仲良し6人組のクラスに、「アンナ先生」が教育実習生として来たことで繰り広げられる学園もの。小学生らしい甘酸っぱいシーン含めて、子供たちの喜怒哀楽が丁寧に描かれているのがいい感じ。親的には微妙に感じるようなシーンも若干ありましたが、最後はホッとさせてくれるので、全体的にほのぼのできる楽しい映画でした。映画の後に子供たちに感想を聞いたら「面白かった!笑いっぱなしだったよ!」と大変満足そうでした。
満島ひかりさん演じるアンナ先生が、いい感じにはまっていると思います。いろいろドラマやCMにも出演されているのでTVで見かけるたびに子供と「アンナ先生だ!」と言ってしまいます。また、アンナ先生が歌う主題歌の"愛なしでは息もできない"が、何気にグッとくる結構いい曲だったので、これは後で購入しよう!と思っていたのですが、映画館限定でしかCDが買えないと知ってちょっと残念・・上映期間後でもいいのでiTunesでDLできるようになるとありがたいですね。

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中学受験の今を知るために読んだ本

子供も大きくなり、そろそろ「中学受験」というキーワードが気になる年頃になりました。
私の子供の時代からの大きな違いは、やはり「中高一貫校」の存在です。そのメリットは親から見ると大変魅力的に映るものですが、実際はどうなんだろう?というのは親であれば誰しも疑問に思うところだと思います。まずはそういった素朴な疑問をスタートに、現状を具体的に把握してみようと考え、複数の筆者の多様な視点を得るために何冊かの本を読んでみました。
本を読んだ私なりの結論としては、進路の一つとして検討する価値が十分あるというものでした。それは実際の試験である「適性検査」の問題のあり方に象徴されていると思います。
過去問題を読んでみると、大人でも「えっ!」と感じて解く気持ちが萎えてしまいそうになるような、一見複雑な問題が沢山出ています。それでもよくよく考えると糸口がでてきたりするようになっており、このようにあきらめずに自分が持つ力を総動員し粘り強さを持って解決に導けるかどうかを見ている事がよくわかります。
また「正解が無い問題」(その人の考え方や状況によっていろいろな答えがある)も大変興味深いと思いました。これは相反する事が発生する局面で、自分は何を考え何をポイントに判断するのかといったといったことであり、例えば「道に迷って困っている老人に出会ったが、自分は大事な用事で急いでる」といった状況です。この時「先方に若干遅れること連絡して、老人の道案内をする。」「老人に口頭で道を教えるだけにする。」といった対応が想定されます。現実的にはさらに先方との関係や老人の案内先がどこなのかといった状況など踏まえ、総合的に判断する事になるのだと思いますが、それをどう判断するかを明確に説明するのは、場合によっては大人でもなかなか難しそうです。
このように「生きる力」を重視したその教育方針に共感できるというのが、私なりの結論に至った理由です。
これらの本を読んだことで現状を把握するだけでなく、親として中学の受験をどう向き合うかを考えるきっかけにもなり、パートナーと今後の教育方針について話し合うこともできました。大切なのは、将来、子供が自分で生きていくための力を育てることであり、受験はあくまでもその成長を支える手段の一つであることを認識して、これからも親として誠実に向き合っていきたいと思います。

中学受験に失敗しない (PHP新書)

中学受験に失敗しない (PHP新書)

高濱正伸さんは学習塾の代表の方。「飯の食える大人に育てる」という塾の教育方針に共感を持つ親御さんからの多くの支持を得ていらっしゃいます。「3章 中学受験生の母親の心得」「4章 中学受験生の父親の心得」は日常の具体的なシーンをケースに示されており、大変わかりやすい解説になっています。

中学受験 (岩波新書)

中学受験 (岩波新書)

横田増夫さんは教育を専門としたジャーナリストの方。塾の経営者へのインタビューや各種データに基づいた分析が豊富にあり、この本が最も客観的・体系的に現状がまとめられていると感じた本でした。

公立中高一貫校 (ちくま新書 1047)

公立中高一貫校 (ちくま新書 1047)

小林公夫さんは法学者の方で各種難関受験教育のエキスパートとしてもご活躍されているとのこと。入試問題を徹底的に分析し、そこから子供に求めらえる能力因子を明確にしている点が最も特徴的な本です。具体的な過去問題の分析、塾や子供へのインタビューが豊富にあり、受験の実態をよく理解できる本だと思います。

河合敦さんは歴史作家・歴史研究家としても活躍される一方『世界一受けたい授業』のスペシャル講師としてもお見かけする方ですね。教職員としての数多くの経験に基づき、学校や教師の視点を知ることができるのが特徴的な本でした。

私とは何か――「個人」から「分人」へ

「分人」という、普段見なれない言葉に興味を引かれて読んでみました。
「分人」とは、たった一つの本当の自分など存在せず、対人関係ごとに見せる複数の顔があり、それは必ずしも同じではないが、それはすべて本当の自分であると示されています。そして、人間関係における、自己、人格、他者との関係、教育、仕事、コミュニケーション、恋愛、結婚、ウツ(新型ウツ)、そして死に至るまで・・。普段意識しているわけではないのですが漠然と思っている様々な物事を、この「分人」の概念を通じて緻密に整理して行く展開に、著者の思考の奥深さを感じてただ感心するばかりでした。(この本を読む前は「分人」とはいわゆる「ペルソナ」の事ではないのか?と思っていましたが「ペルソナ」とは自我(本当の自分)は1つで、複数の表面的な自分(仮面)を使い分けていくというまったく逆の考え方ですので、当然、いい意味で期待を裏切られたわけです。)
第5章「分断を超えて」で、著者は『私たちは、隣人の成功を喜ぶべきである。なぜなら、分人を通じて、私たち自身がその成功に与っているからだ。私たちは隣人の失敗に優しく手を差し伸べるべきである。なぜなら、分人を通じてその失敗は私たち自身にも由来するものだからだ。』と述べています。これは、人間が社会的な存在であり、他人とのかかわりの中で生きていていること。そして、利他的に生きることがなぜ、長期的な視点で自身の充実につながるのかという事に対して、他者との関係で生じる分人の集合が「自分」であることに基づいた、核心を突く重要な認識だと思いました。
これはたまたま、先月読んだ「イノベーション・オブ・ライフ」で示される考え方にも通じる所でもあり、分人という概念を理解することが自身にどういうインパクトを持つのかを考えるにあたり、とても納得感を得られたポイントでした。

私とは何か――「個人」から「分人」へ (講談社現代新書)

私とは何か――「個人」から「分人」へ (講談社現代新書)