こちら側とあちら側の間で・・・

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)」に関する考察で、興味深いものを見つけました。
http://www.future-planning.net/x/modules/news/article.php?storyid=1308
特に興味深いのは以下の2点です。

『こっち側が嫌っているホリエモン以外のベンチャー経営者は誰と誰だろう』とか、『こっち側を理解していない(こっち側のビジネス慣習を十分理解していない)あっち側のベンチャー企業は、Web2.0の時代、日本では稼げないばかりか失敗するのでは無いか』と言った議論をしてしまいました。
(中略)
折角、あっち側では良いセンスを持ちながら、こっち側に対する理解や積極姿勢が足りないばかりにビジネスチャンスを逃すリスクが多くのあっち側のベンチャー企業にはあります。
http://www.future-planning.net/x/modules/news/article.php?storyid=1308

上記エントリで「あちら側」の例として挙げられている「はてな」や「Mixi」などの企業はともかく、一般的に大企業と呼ばれる最初から「こちら側」な企業の場合、当然「こちら側」のビジネスのやり方を無視して「あちら側」の話を進めようとしても、それは社内外の軋轢を生むだけで、やり方としてあまり良い方法とはいえないだろう、というのは一般的に理解できると思います。これはWeb2.0に関する議論だけでなく、一般的にイノベーションを生み出そうとする議論や活動においても、同じようなことがいえるのだなと思いました。(Web進化論においても、そんなすぐに事は変化しないといった旨は示されており、「Web2.0万歳」とする風潮に対する警告を出していると思います。)
以下、『自分達にとっても「あちら側」に進化するのが将来の正しい方向なのだと仮定』した前提で、今後どうするべきかについて考えてみました。

どちらかというと「こちら側」かなと思う人は・・
  • まずはアンテナを高くしてみて。「あちら側」で何が起きようとしているのかちょっと理解しようと努力してみる。
    • そもそもここが一番むずかしいのかもしれません。アンテナの低い人がそもそもこのようなブログを読むとも思えませんので。
    • だからこそ、梅田さんは本を出版するという手段を取ったのだと思います。
  • 昔/今/未来の自分を整理してみる。
    • 10年前の自分を振り返り、今10歳年上の先輩・上司を見てみる。
    • はて?10年後の自分はどういう立場の人になっていて、その時なにをしようとしているのか。
    • 今は組織にとって必要とされる人間かもしれないけど、10年後も果たしてそうなのか。
    • 社外の人からも評価されるような人間なのか。
    • そして、それらは自分が望んでいることなのか。望んでいないのであれば→「最初に戻る」
どちらかというと「あちら側」かなと思う人は・・
  • 「こちら側」がどうしてこういう考えややり方になったのかを客観的に理解しようとしてみる。
    • 基本的にはそれをする理由があってやっているはず。
    • ただ、その理由が、現状と剥離して陳腐化・形骸化していたり、合理的ではなく精神的な話に変化していないかといった所を客観的に判断。
    • そして、自分が実務を担当しているのであれば、「工夫」と称して(それなら誰も止めない)自分が得意とする「あちら側」の手法をちょっとだけ取り入れてみる。(そこんとこ得意でしょ!)
    • 例えば皆で情報を共有できるようにWikiにコンテンツを整理するなど、まずはすぐできるところから。
    • 根気よく続ける。創意工夫をする姿勢を示し実益を与えることで理解者を増やす。
  • 「あちら側」の考えに賛同・共感するあまりに「こちら側」を否定しない。
    • いま「こちら側」にいる人は特に注意。否定しても始まらないし。
    • 「こちら側」の良いところは存分に引き出しつつ悪いところは止め、「あちら側」の本質的な概念をうまく取り込んで進化するという方向を探ってみるのがよいのではないか。
  • 「あちら側」の概念や考え方を自分の言葉で、先輩や上司に説明してみる。
    • 「Web進化論は読みました?これってですね〜」あたりから初めてみようか:-)

まだ完全に整理できてないような気がしますがとりあえず。「どちらかというと「あちら側」かなと思う人」向けに注力して書いちゃっているなぁ:-)