Developers Summit 2009 (2/12)参加メモ(その2)(感想)

デブサミ2009関係のエントリその2です。前エントリは聴講メモを中心に書いたので、今回は感想中心で。全体としては自分自身も大規模開発のプロジェクトに携わった経験があるので、いろいろ納得・気づきを得ながら聞くことができました。

  • 【12-E-1】品質で失敗しない大規模システムの開発
    • 大規模開発の経験を踏まえての品質の押さえ所の話について。個人的には品質検証においてFPによる測定を提案されていた点がポイントでした。
    • 自分の職場の中でもFPによる測定の考え方はあまり使われていないので、今後の開発において検討する必要があると思いました。
    • 設計規約や横串統括組織の重要性については激しく同意です。
    • 大規模開発のツボとなるポイントを確実に抑えているので、経験者にとっては新たな気づきがあり、未経験の人にとっても参考になる良セッションだったと思います。
  • 【12-E-2】SEC流品質作りこみESQR 組込みソフトウェア開発向け品質作り込みガイドの紹介
    • 管理手法は分かりやすいです。しかし、用語の定義が抽象的なので実用性については少し疑問が残りました(ガイドの解釈に余地があるため、誰がやっても同じ結果になるのか不安という意味です)。
    • すでに世の中にある他の品質管理基準と比較して、何が違っていてどう良いのかの説明がなかったのは残念。またガイドで示す参考値の根拠が不明でした(どこかで示されているのであればすみません・・)。
    • なので、セッションでも講演者は言っていましたが参考値を自プロジェクトに適用する際は十分注意が必要かと。この手法で統一して継続的にデータを蓄積することも必要になるだろうと思いました。
  • 【12-A-3】時を超えたプログラミングの道への道
    • うわさの角谷さんをはじめて生で拝見しました、すごい・・プレゼンに見入っていた状況のためメモはほぼ不可能w。リンク先のプレゼン資料をみて雰囲気をつかんでください。圧倒的なパワーを発するプレゼンは、自分に元気をくれました。感謝。
    • XPが数百年持つ建造物を作るための建築理論(パターン・ランゲージによる住まいづくり、設計と施工の一体化、利用者が建築プロセスに参加する(施工も))をソフトウェアでやろうとしているのだという点に気がついたというのはすごい。深いですね・・。
    • 以下重要な引用のメモ
      • 「XPとは「社会」の変化のことである。」
      • 「ツールと技術は頻繁に変わるが、大幅に変わることはない。しかし、人はゆっくりだが深く変わっていく。」
      • 「XPの課題は、ソフトウェアが今後50年間重要な産業であり続けられるように、深い変化を奨励し、個人の価値と相互の信頼関係を新たにすることだ」
      • 角谷さんがケント・ベックさんからもらった言葉「Social Change starts with you(「社会」の変化の始まりはあなたからだ)」
    • 自分はウォータフォールでバリバリの職場のため、XPやアジャイルにあまり縁がありません(時々検討はされるものの結局ウオータフォールへ・・)。角谷さんのプレゼンをきっかけにアジャイルにあらためて興味を持つことができました。仕事の都合でサイン会の時間までいられなかったので、サイン本を買えなかったのは残念です...
      アジャイルな見積りと計画づくり ~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~

      アジャイルな見積りと計画づくり ~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~

  • 【12-E-4】「脱エクセル」を実現!統合プロジェクト管理パッケージ「SI Object Browser PM」を利用してIT企業も近代化しよう〜PMBOK管理エリアをすべてカバー。原価比例法、EVM法をWサポートしたプロジェクト管理
    • 今後の開発マネージメントのあり方を考えるために、自分自身の職場においてこれらのツールの採用を本気で検討する必要があると感じました。脱エクセルで。
    • 講演での「パッケージは敬遠する方も多いが、自分はパッケージはノウハウが集約されたものと考えている。パッケージを通じて勉強するのもアリでは。」というお話は納得。
    • ツールを導入すると、そのツールの勉強に難色を示す人がいることは良くある一つのハードルですが、ツールの思想に引きずられてつぶしが利かなくなることを恐れている人が多いと思います。でもPMBOKなら業界標準ですし俺流エクセルよりよほどよいですよね。
    • ツールは見た目もシンプルでよさげです。でもPMBOK対応ツールは他にも競合製品があるはず。製品比較やPMBOKの早急な取得の必要性を強く感じました。
  • 【12-E-5】難易度の高い超短期開発のPM
    • 開場は満席。「難易度の高い超短期開発のPM」というシチュエーションに対するノウハウの需要の高さを感じました。
    • 体系的にコツが抑えられてあり、PMのテクニック・ノウハウとして他の職場・プロジェクトでも有用性が高い話が多かったです。PMの上長を座長としたエグゼクティブ会議やシステム全体会議のテクニックは、自分の職場でもよく使うテクニックでしたので納得。チームワークを作り上げるために意図的にチーム間の分担を曖昧にしておく(必然的なコミュニケーションを誘発)テクニックは、リスクはありますがメンバを信頼できるのであればアリですね。
    • もう少し内容を膨らませて本にしたら結構売れるのではないかというくらい内容の濃いセッションでした。