人権を考える研修のメモ

先日、会社で人権を考える研修があったのですが、その講師のお話が興味深かったのでメモをエントリ。
この手の研修でよくあるのは「人権を考えよう、差別は良くないよ〜」と正論で教科書的にお話を進めるパターンです。しかし今日の講師の方は少し異なっていました。常識的な範囲の話は踏まえるのですが、そこで「では、本当にこのような理想的なこと(例えば差別しないこと)が完全にできる人なんてこの世にいるのか?(自分含めて)いないと思う。」という流れが印象的でした。「人間は完璧ではないよ・そんなに強くないよ・理想は理想だよ」という前提から一気に現実に落とすことで、受講者が「では、自分はどうなのだろう?」と考えさせる結果になっていると思います。この問いに簡単に答えはでませんが、最終的には一人一人の意識の問題であることを強く認識させるための一つの強力な方法ですね。
以下、印象に残ったポイントのメモです。

  • 『ハラスメントの種類には(a)言葉によるハラスメント(過干渉、けなす..)/(b)態度によるハラスメント(怒鳴る、えこひいき..)/(c)無関心によるハラスメント(放任、無視)がある。これらをまったくしないなんて人はこの世にいないと思う。』
    • (c)は個人的に新しい視点でした。無視された方は相手が何を考えてそういう態度にでているの分からないため精神的に効きますよね。怒られたほうがまだ何が悪かったのか分かるだけ良いというか。
  • 挨拶というのは以外と難しいということ』
    • 社会常識的に一人前の大人であれば挨拶はできて当たり前となるはずですが、なるほど、実際に自分がどこまできちんと挨拶ができているのか・されているのかよくよく思い出してみると微妙だったりしますね・・反省。(挨拶する気持ちはあっても、タイミング的に声をかけそびれてしまったり、声が小さくなったりとか)
  • 『よく会社の課題で「コミュニケーション不足」があるという、では「どことどこの部署のどの情報を共有させるようにするとどのようなメリットが生まれるのか」と聞くと誰も答えられない。本当にコミュニケーション不足なのか?不足ではなくて、いらない情報がありすぎるのではないか。』
    • コミュニケーションに効率化を求める姿勢の是非は議論の余地がありますが、興味深い視点だと思います。
  • 『このような研修は「すぐ効果はでない」とよく言われる。なので今日研修の後、1つづつでよいから「やること」「やめること」を決めて実行して欲しい。100人いれば200の効果がすぐ出ることになる。』
    • すぐ効果を出すためのメソッド。
  • 一番良いのはこのような研修をやらなくてもよい状態になることだと考えている。今はこのような仕事をなくすのが自分の仕事である。無くなったら次の仕事はまた考えればいい。』
    • そこまで言い切る講師がすごいと思いました。