2ちゃんねるはなぜ潰れないのか

2ちゃんねる管理人ひろゆき氏が放つ、身も蓋もないロジックが痛快なこの本。なぜ潰れないのかという理由についてははすでにいろんなエントリで書かれているので割愛するとして、佐々木俊尚氏との対談は示唆に富んでいていろいろと考えされられることが多いです。例えばAPIの公開に対するひろゆき氏の考え方。

僕はAPIの公開ということ自体が、所詮ビジネスだと思っているんですよ。「ユーザにこんなに便利なものを提供しているよ、でも俺らより設けたら潰すぜ」というサービスなんですよ。
(中略)
以前知り合いが、楽天に「データベースの形式を決めて公開し、共有したほうが便利になるんじゃないか」という提案をしたらしいんですけど、そんなこと楽天がやるわけないんですよ。なぜなら、データベースを公開したら自分たちのお店のデータをほかに移されてしまいますから。各企業とも、自社の利益を最大化することを目的に動いているので、別々の企業体同士が連携するというWeb2.0的な考え方は、幻想でしかないと思うんですよね。(p109-110)

やはり身も蓋もないですがww。ある意味本質だと思います。言い方を変えればAPIの公開をビジネスの手法とした場合に、win-winにもっていくにはまだ何かが足りないのだと。何が足りないのかは私がすぐ思いつけるくらいなので、やはり実際のビジネスに落としこむ時きっとその先にまだなにか壁があるのでしょう・・。
あと、公共性に関するこんな議論。これは文章の流れからひろゆき氏よりは佐々木氏の考え方ですが、

佐々木:そうです、そこで衆愚かどうかという問題が出てきて、要するにみんながいいと思っていることが本当にいいのかどうかは、わからないわけです。(中略)
西村:そうすると一般大衆ではなく、ある程度のエリートが公共性を作るということなんですよね。
佐々木:それが日本だけでなく、世界のやり方になっているんです。そうなると今度は民意を反映してないという反論が必ず出る。だからといって民意を反映しすぎると衆愚化するという再反論もある。常に民意と政治というもののバランスの中で我々は生きているわけですよ。そのバランスがインターネットの出現によって、ある種、崩れてくる可能性があることが常に言われているわけです。(p125-126)

さて、今後こういう世界なってきたときに自分自身というものをどう位置づけるか。こんな感じで身も蓋もない議論が延々と続きます。若いのに悲観的であるひろゆき氏のものの見方の中にある種の気づきが見えることは確かな本だと思いました。

2ちゃんねるはなぜ潰れないのか? (扶桑社新書)

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